暴論8-2 文楽劇場はグローブ座になれるか

さて、前稿のとおり、仮に、大阪文楽劇場(できたら国立劇場も)の手摺部分に、見たい人だけ見られる日英の字幕を表示できる設備改修をしたとする。

 

その上で、「外国人にも受けるはずだ」とされる文楽に、外国人を呼び込む作戦が必要である。手始めは、留学生、業務理由による赴任・滞在者といった、現時点で日本にいる外国人を対象とし、その次に、海外からの観光客への浸透を図ってはどうだろう。

 

ちなみに、私の頭にあるのは、英語もろくにできないのにロンドン旅行した知り合いが言っていた、「グローブ座で英語でシェークスピアを見てきたよ」というような話である。日本人にとってのシェークスピアと、外国人からみた近松(あるいは文楽)では、開きがありすぎるとはいえ、世界でも珍しい三人がかりの人形劇、三味線という不思議な楽器という時点で、日本人以上に外国人に興味を持たせる要素はたっぷりである。

ロンドン旅行をした日本人が「ロンドンに来たんだからシェークスピアでしょ」というように、日本に滞在したら「東洋の不思議な人形劇は見逃せないね、語り草としても、一度は見ておいた方がよい」と思わせられる、紹介の仕方、売り込みが大事なのだ。

しかも、文楽も一種の世界遺産なのだから、京都奈良の神社仏閣(ハードウェア)とともに、京都奈良からは時代が数百年下った江戸時代ものではあるが、ソフト的な文化も合わせて堪能していただく、ってのは十分ありだと思う。

 

ということで、まずは、外国の旅行会社と組んでツアーコースに入れ、地道に団体客を呼び込んだり、日本でいう「地球の歩き方」みたいなガイドの京都・大阪版に、文楽鑑賞というアクティビティを載せてもらうあたりから始めるべきだろう。その結果、足を運んでもらえるようになれば、平日の空席も少しずつ埋まっていくと思うのだ。

その際は、演目も曽根崎とかよりは、ぜひシェークスピア作品翻案のテンペストなんかがあるといいと思う。

 

高尚な文化交流的な海外公演も結構だが、まずは足元から。それでこそ、外国人に本当に受けているのか?という疑問も解消されると思うのである。